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楮(こうぞ)栽培奮闘記③ 初めての畑探し 土地を貸して下さい 後編

こんにちは!ちぎりちぎり侑布です♪

さて、(こうぞ)の栽培に挑戦することになり
土地を探すところから始めた前回。

家から通える距離など立地も考慮しながら
市営の貸農園も見に行ったりしました。

それにしても…
私はかなりの田舎に住んでいて
空き家に空地、
山や畑はとても見慣れた風景ですが

貸してくれる土地を探すとなると
なかなかないものです。

そりゃそうですよね、
都合よく3~5坪ほど貸してくれと言われても
相手はちょっと困ってしまうのは当然ですよね。

それでも・・・
どうしてもあきらめきれない
私の無謀な挑戦が続きます。

初めての楮(こうぞ)栽培 土地探し 理想的な市営貸農園を断念したワケ

さてさて、下見に行った市営農園。

外壁に囲まれた広大な敷地の一角に
それはきちんと整備されていました。

前回見学に行って、なるほどな~と感心。

契約は地方自治体の窓口で、
ちゃんと月額いくらで契約しますので
かえって安心です。

決め手になったのが
畑のすぐ近くに設けられた給水所。

水場があるのは本当に便利で文句なし!

ところがこの市民農園、
説明書を読んでいると

「野菜などの作物に限る」と注意書きが・・。

ん??野菜だけ??
どういうことだろう・・・。

よく読んでみると
果樹など木になる作物はダメらしいのです。

「えー?
でも楮は果樹とは違うし・・
そこまで大きくならないし(勝手な自己判断)
ちょっと窓口で相談してみようかな。」

これもよく考えると当然なのですが
木なんか植えると根が張りますよね、
あと大変ですよね・・・。

大根や人参やジャガイモなど
野菜の収穫のための菜園には
野菜を植えるのが当たり前。

そこに楮を植えようなんて・・。
ちょっと想像してみてよ私。

確かにこれはまずいです。
仕方なく市民農園は断念することに。

畑として綺麗に整備している畝に
「木を植えさせろ」なんて
冷静に考えてみて、
交渉する気も消えていきました。

しかし注意書きがなければ
勝手に木を植えているはずです、私。
周りがちょっと見えなくなっているかも・・。
(そういう性格かも!)

「チャレンジ」だと聞こえはいいけど、「無謀」ですよね、ちょっと恥ずかしくなった・・・。

こうして
市営農園を借りる計画は
静かに終わりました。

ちょうど同じ時期に
大変お世話になっている知人の親せきの方が
山を持っているという情報を入手。

早速知人に相談に行きます。

自分の浅はかさに翻弄されながらも
私の土地探しは続きます。

新たに土地を買う余裕(マネー!)があれば
いいだけの話ですけどね。(涙)

初めての楮(こうぞ)栽培 土地探し なんと!最上級の土地見つかる

右端、遠くに英彦山(ひこさん)の山影、癒される~♪

お世話になっている知人の親せきの方が
持っているという土地。

うちから車で20分弱。
うんうん、想定内だ。

とにかくまずは見に行こうと
知人と一緒に車を走らせ現地へ。

私の住んでいるエリアには
英彦山という霊山があるのですが
その麓にある自然豊かな町の一角から
高台に上がっていきます。

標高でいうと2、30メートルでしょうか、
低めの山が連なってその上に上がると
辺り一面農地が拡がっています。

視界を遮るものはなく
英彦山の面白くも美しい尾根の姿が
遠くに、でもはっきりとよく見えました。

「ここだよ」

農地の端っこがそのまま周辺の低い山へと続いていく

ついたところはその農地の一区画。
広い広いこの農地で、
色んな農家の方がそれぞれ自分の農地で
自分の野菜をたくさん育てているようです。

それぞれフェンスで仕切ってあり、
よその土地には当然入れないように
区切っている感じです。

知人は車を降りて
フェンスの門を開けました。

フェンスの向こうに拡がる農地は
持ち主がご高齢のため
今は何も作っていないとか。

フェンス付近はフェンスと同じ高さの
セイタカアワダチソウが生い茂って
中の様子が見えなくなっているほど・・。

そのセイタカアワダチソウを押しのけて
2、3メートル中へ入ると
目の前に綺麗な農地が開けました。

何も植えてなくても
草がはびこらない様に
機械で土を耕しているとかで
農地は綺麗に掘り返された状態でした。

耕された広い農地の一番奥は
山となって杉や檜や様々な木が
風にそよそよと揺れています。

大自然の山に繋がる立派な農地です。

初めての楮(こうぞ)栽培 見つかった最上級の農地! 気になる料金は?

ひ、広い! 

土の状態もほこほこして美味しそうな感じ、
「これはいい畑になるだろなー」
と素人が見てもいい感じなのですが、

当然ここにコウゾは植えません。

今回は試験的な試みで少しの株のみ。

コウゾは農地と農地の隙間、
畔(あぜ)とかに植えさせてもらえれば
十分なのです。

この綺麗に耕した農地の周りにも
セイタカアワダチソウで覆われた
畔っぽい場所が続いています。

そうそう、こんなところで十分ですよ!

市営農園の件で
畑に楮を植えるとどうなるかという
想像力を養った私は

さすがにきれいな農地の畝に
コウゾを植える気には

もうなりません。

とはいえ、
市営農園のことがなければ
この素晴らしい農地の真ん中に
厚かましくも楮を植え付けていたことを考えると

ゾッとしますね。
(無知ってこわい!)

自分の土地なら何も考えずにできますけどね。

とはいえ農家育ちの知人は
さすがによくわかっていて

「ここからあそこまでのあの一角、
そこにコウゾを植えるといいよ」

とちゃんと畔の部分での提案を
してくれたのでした。

ちょうど農地の境目にあった他の木。この近くに植えることに。

おまけに貸し賃はいらないって・・・!?

最初は耳を疑いましたが、
畔の部分を使うだけということもあって
お金は要らないというのです。

せめて市営農園と同じくらいの金額だけでも
受け取ってもらいたいのですが

全然受け取ってくれなくて…。

「あーいいよー気にしなくて」
と結局無料でどうぞって話になりました。

うわー!有難いことですね~。

早速、コウゾを植える準備に取り掛かります。

終わりに

有難いことに
コウゾを植える土地については
あちこちからお話がありました。

うちの庭に植えていいよーと言ってくださったり、
空いてる土地を2、3教えて頂いたり。

私もすぐに現地を確認しました。

あるところは、大きさは理想的でも
大きなバイパス沿いの
排気ガスも凄いところだったので断念。

また別の畑は
山の入り口あたりを使っていいよーと
見に行ってみましたが、
色んな木が生い茂っている急な斜面で
足場が悪かったり・・・。

ちなみに私の住んでいるこのエリアは
和紙の産地でもなんでもありませんから

コウゾ畑なんてありませんし、
みんな知らないと思います。

もちろん山で自生しているコウゾは確かにありますが
勝手に人の山に入ることもできませんしね。

それでもようやく農地の一角に
植えさせてもらえることになり

私の悪戦苦闘の体験談は
もう少し続くことになります。

それではまた♪

ABOUT US
yuu
村上侑布 / yuu murakami ~ 福岡在住      美しい楮(こうぞ)の枝に魅せられた私は、ひょんなことから創作の世界へ身を置くことに。 それから試行錯誤の日々が始まり、手漉き和紙、木工、塗装、染色、電気など学んでみたものの『たった1台の灯りを作るのさえ、 ままならない・・!』 先が見えず焦燥感ばかり募る数年間を、悶々と過ごしてきました。 ようやく少しずつ形となってきて、 現在は、和紙の原料となる楮(こうぞ)の木を育てて収穫し、手漉き和紙と行灯を製作する傍ら、和紙ちぎり絵のワークショップを開催しています。 三大フェチである「路地裏・扉・階段」をモチーフに、店長・アレキサンダーとの工房暮らしを満喫中。