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楮(こうぞ)栽培奮闘記⑤ 失敗から学ぶ まさか?の食害被害の実態

こんにちは!ちぎりちぎり侑布です♪

頑丈なフェンスで囲われた畑

楮(こうぞ)栽培奮闘記のお話、
もう少し続きます。

さて前回、
気前よく貸していただいた畑の一角に
楮(こうぞ)の苗を植えたお話でした。

その広大な畑ですが
入り口のある道路側は
道と畑の境に
鉄柱の立派なフェンスが延々と
道なりに続いています。

入り口にはしっかりと門扉もあって
畑の中には簡単に侵入できない状態です。

そのこともあって
まさか私の植えた楮(こうぞ)が
食害にあうなんて思いもしませんでした。

この体験も
やがて血となり肉となるはず・・!

今回は食害被害の実態をお届けします!

食害の実態!失敗から学ぶ楮栽培 ①大事な楮(こうぞ)が食べられた

店長と楮 ピンボケしてますが・・枝先かじられてる・・・

もうがっかりです・・・。

張り切って植えた楮(こうぞ)、
しばらくよさげだったのですが
思ったより早く異変に気付きました。

植えてから約一ケ月後・・・
「あれ? 葉っぱがない。」
枝先の葉が全部なくなっています。

確かに楮(こうぞ)は落葉種ですので
冬に葉は散ってしまいます。

が、ちょっと様子が違う・・・。

枝先から綺麗にカットされたような感じ。
そう、カットされた部分はどう見ても
歯で食いちぎられた感じなのです。

ん~、間違いない、
これはもう、

食べられてるのでは?

だけどだだっ広いこの場所に
立っているのは店長と私だけ。

でもそうか、いるんだ!
茂みに隠れて野生の動物たちが・・・。

ちょっと怖くなって
思わず辺りを見渡しました。

最初に手伝ってくれた知人は
今はもう関わっていませんが、
一応この状態を報告すると、

「あー!そうね、野生の動物がおるわ!
アナグマとか普通に来るわ!
ありゃ~木も食べられるのか~!」と・・。

何でも以前畑で使っていた時に
ジャガイモを植えていたそうで

「根こそぎ全部持っていかれたとか言ってたな!」
と大笑いしておりました。

「囲いしたところで、
アナグマとか掘ってくるからね~」

なるほどー!
そうかー・・・
いるのか、やはり・・・。
アナグマかどうかわからないけど
これ、もしかすると何度も来てるかも。

毎日見に来てるかもしれないな。

枝先を食べられても新芽が・・・

しかも面白いことに
枝全部は食べないというか

出てきた葉の部分だけ
食べている感じなのです。

楮(こうぞ)はまだ根付いた状態で
枯れてはいませんし、
倒されたりもしていない。

葉がちゃんと育つように、
次もまた食べれるように・・
ってことなのかな。

だとしたら・・
賢いんじゃないでしょうか・・!?

負ける気しかしない・・(汗)

食害の実態!失敗から学ぶ楮栽培 ②犯人の目星をつけて真向対決!?

野生動物の他に鳥たちもかなりいる。これはダイサギのコロニー。

それから何度も足を運びましたが、
やはり楮(こうぞ)はしっかりと植わったまま。

だけど全然大きくなりません。

そりゃちょいちょい食べられてますから
ほぼ植えたときのままの大きさなのです。

なんか獣に剪定されてる感じですよ。

ある程度大きく育つのを待つまでもなく
結局そのまま
大きく育つことはありませんでした。

そしてある日。

たくさんのフンと足跡を発見しました。

ひえ~!!!

「群れで移動したのでは?」
というくらいたくさんついてます。

夜中に来ればはっきりとわかるんでしょうが
真っ暗な中、ちょっと怖くて断念しました。

残された足跡は
大中小と色々な大きさが混ざっています。

形もさまざまです。

この辺りは鹿やイノシシはたくさんいますが
アナグマやウサギなど
小動物の足跡も混ざっているかもしれません。

フンがたくさん!これは鹿では?

それにしても・・

入り口に立派なフェンスがあるから
安心してました。

畑の奥の方は草木が生い茂っていて
あまり良く見えませんが

そのまま山につながっているのでしょう、

そこから自由に
野生動物たちの出入りができるのでしょう。

結局・・・
1年たたないうちに
楮は枯れてしまいました。

その前に、
根っこから掘り返される苗もありましたから

鹿やイノシシなど
力のある大きな動物の可能性は高いです。

大きめの四角い足跡もたくさん残っていました。

四角い足跡発見!

結果~
フンと足跡から調べてみると
たくさんの鹿が来ていたのは間違いなさそう。

ただし、くっきりと綺麗な足跡でもないため
鹿とイノシシの足跡を区別するのは

ちょっと素人には難しそうです。

 食害の実態!失敗から学ぶ楮栽培 ③囲うしかないのかバリケード計画

「畑は使っていないので自由にしていいよ」
と言って下さったので、
楮(こうぞ)の周囲を囲むバリケード
色々と考えてみました。

害獣対策で多くの方がやっているとおり
ポールをしっかりとたてて網を張る。

他の方のを参考に材料や道具を調べてみる。

確かにアルミのポールは
ホームセンターにも売っていて
私でも出来そう!

ネットで調べただけでも

「鹿よけフェンスの作り方」みたいに
丁寧にアップしてくれてる・・。

有難いですよね~。

イメージはすぐにふくらんで、
そしてすぐに買いに行こうとする。

そこでね・・ちょっと待った・・

冷静に振り返ってみます。

なぜ畑が必要か??
私の場合、楮を育てたいだけなのです。

自分で育てて大きくなった楮を収穫して
皮を剥いで紙をつくる。

昔ながらのやり方で紙を漉き、
残った枝は行灯の骨組みにする。

そして楮行灯をつくる。

一つの苗を育てて
大きくなった楮(こうぞ)の枝と皮
洩れなく使い切りたい
と考えています。

「自分で植えて自分で育てる」
というプロセスが絶対に大切なのです。

で今回実際に植えてみて
これまで悩んだことや
困ったこともあったはず。

そこはもう一度再確認しておきたい。

悩んだこと、そうです、
ありましたね、
立派で広大な畑ですが

水場がない・・。という現実。

楮(こうぞ)を収穫した後は
蒸して手早く皮を剥ぎ・・
といった作業が待っています。

釜のあるところまで
楮を運んでいけばよいのですが
長い目で見たときに
小さな不便さが溜まってくると

果たして続けることができるのか・・

夏の猛暑も
何度か水タンクで水を運んだけど
今後もそれはできるのか・・などなど。

ここら辺の広大な畑で
現在栽培しているところは
立派なスプリンクラーの設備を整えています。

時間が来ると畑の随所に設置してある
水道管から
シャワーのように水が撒かれています。

さすがにそこまではできない。

自分の土地ではないということ、
いくら許可をもらっていても
自由度はかなり低いのが当たり前。

そこに害獣対策のバリケードを
設置までして後悔しないだろうか・・。

若くもないけど
勢いでやってしまって大丈夫なのか?

つまり、身の丈なのか??

さらに色々と思い起こします。

 終わりに

残念ながら
結局、この畑での楮栽培は
断念することにしました。

畑としては大変立派で
後ろ髪をかなり引かれましたが

私がその広大な畑を
上手く活かせないだろうとの判断です。

うわ~!もったいない~!

でもね、自分でやる中途半端な工作物で
持ち主に迷惑がかかったり

また数年後に実際持ち主が変わったときに
これまでの苦労が水の泡になるかもしれない・・・
といった問題も少し予測できる。

何より楮(こうぞ)の特性が借畑向きでない。
(これは実はぞっとするお話、リンク貼っときます!)

危険?【和紙の原料・楮の木を自宅で育てる】注意事項をまとめてみた

うわ~ん!!!

折角ですがここまで。
きっぱりと断念することにしました。(涙)

あ~ん、ここまでやってきたのにぃ(涙)

引き続き
楮栽培の畑探しは続きます。

ちなみにこういった失敗談の記事については

例え笑われても実体験に伴う失敗ですので
惜しみなく公開していきます(^^)/

次回は・・


今回とても教訓となった
土地の契約上の問題について
少し触れてみたいと思います。

それではまた♪

ABOUT US
yuu
村上侑布 / yuu murakami ~ 福岡在住      美しい楮(こうぞ)の枝に魅せられた私は、ひょんなことから創作の世界へ身を置くことに。 それから試行錯誤の日々が始まり、手漉き和紙、木工、塗装、染色、電気など学んでみたものの『たった1台の灯りを作るのさえ、 ままならない・・!』 先が見えず焦燥感ばかり募る数年間を、悶々と過ごしてきました。 ようやく少しずつ形となってきて、 現在は、和紙の原料となる楮(こうぞ)の木を育てて収穫し、手漉き和紙と行灯を製作する傍ら、和紙ちぎり絵のワークショップを開催しています。 三大フェチである「路地裏・扉・階段」をモチーフに、店長・アレキサンダーとの工房暮らしを満喫中。