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はじめに
こんにちは、楮行灯の侑布です♪
和紙の原料となる
楮(こうぞ)の木を
自宅の庭に植えてみた
実際の体験談です。
楮といっても私が栽培しているのは
ヒメコウゾという品種です。
自分で好きな紙を漉くために
自宅とプランターに
和紙の原料であるヒメコウゾの木を
植えて育てるところから始めました。
少々マニアックな世界ですが、
実際に自宅の庭で栽培してみて、
「これってどうなの?
知らずに植えるのは危険では??」
と焦った体験をまとめてみました。
ご参考までにどうぞ♪
お急ぎの方は「結論」から
目次で飛ばし読みどうぞ♪
まずは和紙の原料・楮の木の特徴と育て方を簡単に
和紙の原料となる植物の中でも
最も多く使われているのが
この楮(コウゾ)という植物。
学術名で書くと
コウゾはクワ科コウゾ属です。
ヒメコウゾとカジノキの交雑種となっています。
楮は日本全国に拡がりましたが、
楮と一口に言っても各地域によって
様々な種類があるようです。
楮は元来育てやすい植物です。
水はけの良い山の斜面などでは
放っておいても良く育ってくれます。
日本各地の山間部を利用して
和紙の生産に比例して
これまでたくさんの楮畑が
見られてきました。
今でも自生している楮を
見ることができます。
育てやすいということは
本当にありがたい!
早速栽培に挑戦してみました。
【和紙の原料・楮栽培】実際に困ったことを簡単にまとめてみた!
私は楮の枝を使って行灯を作っているため
自宅で栽培できるのが
一番理想なんですね。
そこで楮の苗木を買って庭と
プランターに植えてみました。
5年目になる庭の株は
今年もすくすく育っています。
紙として収穫するのは3年経ってから・・
とよく言われているのですが
これはなるほど納得で、
丈夫で立派な枝を収穫するために
まずは株をしっかりと育てる・・
というためのようです。
では早速、
これまでの焦った出来事を
見ていきましょう。
危険?【和紙の原料・楮栽培】天道生え?新芽がどんどん生えてくる
九州の方言で
「天道生え」
という言葉があります。
「てんとばえ」
と言ってますが、
今の若い方はわからないか・・
種をまいていないのに
勝手に生えてくる植物のことを
「てんとばえ」と言っています。
鳥が種を運んできたり
種が風で飛ばされたりして
自然に生えてくる植物ですね。
現代は庭付の家でも
コンクリートや砂利敷きで
ところどころに植栽を植え
オシャレな感じに仕上げています。
土の状態だけの庭というのは
今かなり減ってますよね。
天道生え現象って
あまり見られなくなってるかも。
花を育てたり畑を作っている人なら
「天道生え」という言葉は
なじみがあるかもしれません。
さて、その天道生え。
うちの庭の元々植えた楮から
1、2メートル離れたところに
新しく楮が生えてきたのです。
「まさか・・楮の天道生え??」
「種がいつの間にかはじけた??」
土から小さな新芽が出てきて
確実に育っているではありませんか。
危険?【和紙の原料・楮栽培】庭が地下組織に乗っ取られる?
てっきり天道生えだと思っていた私は
その小さな楮が踏まれないように
2,30センチの高さになると
安全な場所に移しかえることに
決めました。
おー!これは苗木を買わなくて済む
とか考えながら・・
小さな楮の根を掘ると
一番太い根が
結構地中深くに続いています。
???
小さな割に根が太くて長いな・・
そのまま根を伝いながら
掘り進めると
なんとその根は
横方向に伸びているではありませんか。
そうです、
これは天道生えではなく
大元の株から生えてきた根でした。
いわゆる地下茎です。
楮は地下茎でも繁殖するそうですが
実際していました!!
苗木がタダで・・とか
せこいことを考えている場合では
ありません。
ものすごい繁殖力ですよ、
それも地下茎というのを
目の当たりにし、
うちの庭、どうなるんやろ・・
ちょっと困りますよね、私。
危険?【和紙の原料・楮栽培】地下は確かに危険!さて地上は大丈夫?
地上はもう一目瞭然です。
もっさり、
かなりもっさりと育ちます。
6月に入ると(写真は夏の終わり)
育つスピードも速く
ぐんぐんもっさり育つ感じ。
伸びた楮の背丈は2、3メートルは
あります。
枝は放射線状に
ひとつの株から何本も伸びて
なだらかな弧を描く感じです。
和紙の材料に使う楮は
まっすぐ伸びた枝を
たくさん収穫することが大切です。
そのため、枝から次々に出てくる
新芽はその都度取っていかないと
どんどん枝分かれしていきます。
余分な枝を生やさないために
小さな芽のうちに取ってしまう
芽かきという作業、
これがとても大事になってきます。
かと言って
全部芽を取れば葉が無くなり
光合成も何も
植物の成長を阻害してしまうので
先端の方の葉は残しています。
芽かきをしていると
もっさり感はかなり減ります。
ですが、我が家の場合、
私が面白い枝の形を求めるが故
芽かきをしない枝を
いくつか残すことで
どうしてももっさりしてしまう・・
ということになります。
まあ一言でいうなら
邪魔になってしょうがない
状態にはなります。
楮、ごめん。
でも雨戸の方までグングン
伸びてるし。
家族もいい顔しませんね、つらい。
危険?【和紙の原料・楮栽培】観賞用としてはどう?弊害はある?
楮がぐんぐん育つことはわかりました。
これ、庭木として育ててみても
観賞用には全く向いていません。
・・・とは言い切れないです。
私が枝の収穫目的で育てているので
鑑賞のための選定を
行っていないからです。
ひとつの株から
いくつも枝が伸びてくるのですが、
私のように
のびのびもっさり育てると、
確かに樹形は美しくはありません。
まあ、お好みですので
美しくないという表現は
良くないですが、
プランターなら
そこまで鬱蒼と生い茂らないので
樹形を整えてあげれば
鑑賞用にもできると思います。
実際楮の若木は
葉っぱとか可愛らしいですし。
そして庭木の方ですが
恐ろしいことに
地下茎でどんどん繁殖することが
わかりました。
これどうなるかというと
地下茎が拡がって
他の庭木にも影響が出るのは
想像できますよね。
例えばうちの庭には
日本庭園のように
岩を並べているのですが
岩の隙間からもちらほら
楮の新芽が出ています。
これって
大きくなると岩のぐらつきが
出てくるのでは?
影響が出ないとは言い切れない。
ということです。
他に松や梅の木もあるのですが、
根っこ同士で干渉しあうと
成長を阻害する??
そう、
影響が出ないとは言い切れない。
ということなのです。
「えーーー??
もううち植えちゃったよ?」
て話ですが、
我が家の場合は
家族に事前了承済み。
また、庭木の後始末は
すべて私がやるということで
楮を植えさせてもらっています。
結論:危険?【和紙の原料・楮の木を自宅で育てる】まとめてみた
結論
ということで
根の状態を知ってしまうと
観賞用の庭木としては
おススメできません。
それどころか
他の庭木への影響を考えると
ちょっと・・責任とれませんよね。
考えながらビビっています。
でもね、
楮に捧げましたから!諸々と・・。
庭に他の植物が少なくて
楮だけ栽培するのが目的なら
全く問題ないでしょう。
まさに楮畑ですね。
実際に自宅の庭に植えてみて
楮のたくましさを知ったあとは
これ、増えすぎて
あとで減らすの大変では?
と強く思いました。
実は数年前に
田舎のあるお宅に
楮を刈りに行ったことがあります。
そこに住んでいたご夫婦が
もう高齢のため
自分たちではできないということでした。
そのお宅の敷地内は
山続きになっていて
楮がたくさん生えていました。
山に自生していた楮が
増えすぎて困っていたのですね。
楮は野生の動物(鹿など)の
食害にあったりもするのですが、
田舎とはいえ
ちょうどバイパス沿いで
野生動物が来るようなところでもなく
楮がかなり茂っていたのを
覚えています。
私のように
和紙のために楮を植えるなど
楮を使う目的があれば別ですが
ただ庭に植えるというのは
かなりリスキーだなと
今は思います。
おわりに
庭での楮栽培のお話、
いかがでしたか?
地下茎というのも驚きですが、
育ちっぷりが本当にすごい。
庭木の影響を考えると
安易に植えることはできないかな
というのが本音です。
以前、
知人の畑に植えさせてもらい
残念ながら食害にあい
全部枯れたことがあったのですが
良かったと・・
今は胸をなでおろしています。
自分の土地ならまだしも
人様の土地に
楮軍団が根付くところでした。
楮は大好きな植物ですが
繁殖力やその特性には
気を付けたいですね。
~追伸~
実は庭先に育っている
立派な楮もあります!
これは観賞用としての役割を
十分に果たしています。
この楮の木のお話は
近々特集を組みますね、
お楽しみに♪