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自分でできる【和紙の作り方】①簡単に写真で解説 原料となる楮栽培

はじめに

たくさん準備して紙を漉く工程ってホント最後の方。それまでの準備がとても大切で大変。

こんにちは!

本物の手漉き和紙を作るには
たくさんの工程があり

とても一日でできるものでは
ありません。

伝統工芸に指定されている和紙なら
尚のこと。

指定農場で大切に育てられた
厳選された原材料を使い

高い技術をもつ和紙職人さんが

昔ながらの製法を守り続けて
一枚一枚丁寧に

素晴らしい紙を漉かれています。

そんな凄腕職人さんの漉く紙には
到底かないませんが、
(何度見ても神業!)

和紙作りを学びたいのです!

ということで
かなりハードルを下げて
私にもできる【和紙の作り方】
をテーマに、

自宅でできる和紙作りの工程を
写真付きでをまとめてみました!

今回はまず和紙の原料となる
楮(こうぞ)の栽培から。

①楮の品種を簡単に解説
②楮の苗を植えてみよう♪
③楮のお手入れ・育て方

の観点から
見ていきましょう♪

注:一個人宅の小さな工房でのお話です。
使う道具や設備も、一人でできるレベルのもの。
それぞれの工場や工房でやる作業内容が
大きく違うこともございます。
どうぞその点を念頭に、ご参考までにどうぞ♪

私にできる?【和紙の作り方】原料となる楮(こうぞ)を育ててみよう

油断すると育ちすぎる。まだまだ背丈は伸びて2,3メートルになります。

私は楮(こうぞ)を自家栽培し、
収獲した木の皮・枝を使っての
紙・製品づくりを行っています。

自宅の庭でできる程度の収穫量・・
とはいえ

私一人で切り盛りしている
ここ小さな工房では

実に丁度よい規模なのです。

そしてこの楮(こうぞ)という植物、

素人でも育てやすい上に
実はとってもすばらしい素材!


では早速、和紙ができるまでを

追っかけてみたいと思います。

(庭木にするには注意も必要、
また後述しますね!)

和紙の作り方① 楮(こうぞ)の苗を植える前に~品種を簡単に解説

ちょいちょい登場してくれる八女市の矢部川。和紙の歴史ここにあり。

和紙の原料となる楮の栽培は
水はけのよい傾斜地が適しており

そこで山間部の山の傾斜を利用して
楮畑が整えられていくことで

良い楮が収穫できるようになり
その地域で良い和紙が
漉けるようになっていきました。

和紙産業の発展と共に
楮(こうぞ)は各地域で育てられ
効率よく収穫できるように
今日まで様々な
工夫が凝らされてきました

楮は自生しているものも多く
いくつかの品種があり、
各地域でそれぞれに特徴があります。

伝統工芸に指定されている和紙は
決められた畑の楮を使っています。

一定の品質がしっかりと
守られないといけない
からですね。

さあここで
私が個人で作る和紙に関してですが

当然、伝統工芸で使っている楮の苗を
勝手に使うわけにはいきませんし、

山に自生している同じ種類の楮の苗を
使ったところで

「伝統工芸の紙を漉いている」

という言い方は絶対にできないわけです。

もちろん、伝統工芸品であるような
誤解を招く言い方はだめですが、

自生している楮を使うこと自体は
問題ありません。

※当たり前のことですが
人様の山に勝手に入るのはだめ~

実際にうちの近くの山にも
自生している楮がちらほら見られます。

珍しい植物ではないのですね。

苗カップから外して、土は軽くほぐす程度。

私が育てている楮の種類は
ヒメコウゾという品種です。

自生の楮を使わずに
市販の苗を購入し、
庭で栽培しています。

なぜならズバリ、
楮の品種を明記できるからです。

「楮:ヒメコウゾ」
といった具合ですね。

ただそれだけです。

自生している楮は葉の形などから
「たぶん〇〇楮だね~」
くらいはわかるでしょうけど、

正確な品種を人に伝えるには
遺伝子から調べる必要がありますが
実際は難しいですよね。

そこで、
はっきりと品種のわかる
楮の苗を購入した
という経緯があります。

ちなみに・・
学術名でカタカナ書きしますが、

ヒメコウゾとカジノキの雑種が
「コウゾ」
となっていて

紙すきに向いているのは
この雑種であるコウゾの品種。

ややこしいですが
各地域の紙すきに使われている
楮の種類も色々あり、

楮の記事だけでもかなり書けますが
あまりにも長くなるため
今回は省略します。
(特集組みますのでお待ちください)

和紙の作り方② 楮(こうぞ)の苗を植えてみよう♪~簡単に解説

丁寧な梱包で、元気な状態で届きました♪

厳密には
「ヒメコウゾの苗を植えよう♪」
ということで

苗は在庫があれば
ネットで購入することができます。

60~80㎝ほどの苗が
しっかりと段ボールに入れられて

速やかに無事に届きました。

苗を植える時期は5月が良いでしょう。

プランターでも地植えでも
どちらでも大丈夫です。

うちの庭の土が黄土色で
まるで小学校の運動場のよう。

土が肥えている感じが
全くしなかったため

まずは土をよく耕して
腐葉土を加えて混ぜることで

全体的に黒っぽくなり、
フカフカする感じに整えました。

庭の隅にあった小さな花壇の土づくりから・・って混ぜるだけですが。

それから購入した苗を
苗カップから取り出して

根っこの余分な土を
軽くほぐして払いましたが

半分くらいは土がついたまま
地面に植え替えました。

肥料はすぐには与えずに
水をたっぷりとあげました。

山に自生している楮のように
傾斜地に植えたかったのですが

自宅の庭に植えるとなると
そうもいきません。

平地の他の植木の横とかに
植えてみました。

上手く根付いてくれるといいな・・
という私の心配をよそに

太陽の光をたっぷりと浴びて
あっという間にぐんぐん育ちました。

特に6月半ばからは成長が早く
伸びた枝が邪魔になるほど。

地植えほどは大きくならないかな、プランターの大きさに合わせて育つ感じ。

また、
プランターの底にネットを敷き、

ホームセンターで購入した
樹木用の土を入れ

そこに別の苗を植えて
プランターでも育ててみることに。

ヒメコウゾは紙漉きには向いていない
言われていますが、

私が個人で漉く紙に関しては
ヒメコウゾでも大丈夫でしたので
生産性の問題かな??と・・

ここはまた
追ってお伝えできればと思います。

和紙の作り方③ 楮(こうぞ)のお手入れ・育て方♪~簡単に解説

左 芽かきをした枝    右 何もしていない枝

楮(こうぞ)がどんどん育ってくると
芽かき作業が必要になってきます。

芽かきとは、枝から出てくる新芽を
取っていく作業です。

指先で芽を摘んでいきますが、
割と簡単に
新芽を取ることができます。

一般的な楮(こうぞ)栽培では、

枝をまっすぐに伸ばすために

枝の途中から生えてくる新芽を
小まめに落としていきます。

こうして太くまっすぐな枝を
育てていくことで
良質な皮を効率よく剥いで加工でき
良い和紙の原料を収穫できます。

この芽かきの作業を行わないと
枝の途中から次々と新芽が顔を出して
ドンドン枝分かれしていきます。

そうなるととても皮が剥ぎにくく
途中で引っかかったり破れたり
品質も落ちてしまいます。

芽かきの大切さが
後からよ~くわかるのです。

我が家の場合は
行灯を作っていることもあり
面白い枝が必要です。

芽かきをあえてせずに
二股や色々な形の枝になるように
育てています。

そうなると確かに
皮を剥ぐのが大変になってきますね。

おわりに ~ ②楮の収穫と加工・・に続くよ~

猛暑でも元気なこうぞたち。 太陽の光を浴びて ぐんぐん伸びるのだ!

いかがでしたか?

今回は和紙の原料となる
楮(こうぞ)の栽培について

まずは楮の育て方を
「私でもできるやり方」
見ていきました。

楮畑に関しては
手痛い失敗もたくさんありますが

特にお伝えしたいのは

楮って育てやすい!!

ということ。^^

楮そのものが丈夫なんですね、
これは大雑把な私にとっては

大変ありがたいことでした。

次回は

楮の収穫と皮の加工について

見ていきたいと思います。

楮や和紙に興味を持ってくれると
とっても嬉しいで~す♪

庭木にするには注意が必要!
デメリットまとめてます。
↓↓↓

危険?【和紙の原料・楮の木を自宅で育てる】注意事項をまとめてみた

ABOUT US
yuu
村上侑布 / yuu murakami ~ 福岡在住      美しい楮(こうぞ)の枝に魅せられた私は、ひょんなことから創作の世界へ身を置くことに。 それから試行錯誤の日々が始まり、手漉き和紙、木工、塗装、染色、電気など学んでみたものの『たった1台の灯りを作るのさえ、 ままならない・・!』 先が見えず焦燥感ばかり募る数年間を、悶々と過ごしてきました。 ようやく少しずつ形となってきて、 現在は、和紙の原料となる楮(こうぞ)の木を育てて収穫し、手漉き和紙と行灯を製作する傍ら、和紙ちぎり絵のワークショップを開催しています。 三大フェチである「路地裏・扉・階段」をモチーフに、店長・アレキサンダーとの工房暮らしを満喫中。