はじめに
こんにちは!
楮(こうぞ)行灯を製作している
楮(こうぞ)って何だ?と早速聞こえてくるようです。
そう、和紙の原料となる植物として栽培されるのが
この楮(こうぞ)という植物なのです。
和紙つながりでご存じの方も多いかと思いますが
和紙とはかけ離れて生活をしている方には
全く馴染みのない植物ですよね。
今回は少し楮(こうぞ)の世界を覗いてみましょう。
そして楮(こうぞ)の魅力を知っていただけると
とっても嬉しいです!
【手すき和紙 原料となる楮(こうぞ)栽培 ①楮という植物がある】
古くから和紙の原料として楮(こうぞ)・
ミツマタ・雁皮(がんぴ)という種類の植物の
繊維が使われてきました。
和紙の原料となる植物は様々ありますが、
最も使われている三大植物です。
その中でも今回は楮(こうぞ)という植物に
スポットを当ててみたいと思います。
楮はクワ科コウゾ属の落葉低木です。
7世紀のはじめ頃に紙の技術とともに中国から渡来し
日本の野山にも自生していきました。
比較的丈夫で育てやすく和紙の盛んな地域では
山間の斜面によく植えられて栽培もされてきました。
今でも和紙の産地に行くと楮畑を見ることができます。
実際私も楮畑を探して回ったことがあり、
またの機会にご紹介できればと思います。
1年で収穫できるまでにすくすくと育ちますから
2、3メートルほどに成長した木の枝を収穫し、
その皮の部分の繊維質を集めたものが和紙の原料となります。
収穫された後は、楮の根と切り株が残りますが、
春になるとその切り株から新芽が出て、ぐんぐん育ち、
一年でまた収穫できるまでになりますから本当によくできていますね。
こうして楮の木から作られた紙は、
別名楮紙(こうぞし)と呼ばれることもあり
古代より最も愛されてきた歴史のある和紙なのです。
残念ながら昔に比べると和紙作りそのものが
激減していることは言うまでもありません。
しかし、この楮(こうぞ)という植物
とても都合よく育てることができその丈夫さや手軽さは
いつか私たち人類にとってとても役に立つ
大切な植物ではないのだろうかという
予感がしてなりません。
そんな楮の特性を伝えていくとともに、
この楮の魅力を少しでもお伝えできればと切に思います。
話を少し戻しますが、
紙漉きの作業は農閑期の女性の手仕事であったこともあり(一部)、
冬の風物詩として年末から年明けにかけて収穫した楮を蒸しあげて
村人みんなで皮を剥ぐ作業が見られました。
その皮の繊維を丁寧に取り出しそれが原料となり
農閑期に紙すきを行っていました。
寒い時期の作業はとても理にかなっていたようで(後述します)
とても良い紙ができるとか・・
とはいえ極寒の中での水仕事ですから厳しい作業でもありました。
【手すき和紙 原料となる楮(こうぞ)栽培 ③楮ってこんな使い方】
冬に一斉に収穫された楮は、大釜でほどよく蒸されたあと、
一気に木の皮を剥がしていきます。
蒸しあがった楮の木の皮が、力を入れることなくするっと剝けるのです。
なんともいえない快感で気持ちの良い作業。
熱いうちにどんどん皮を剥いでいくと黄みがかってつるつるとした楮の木肌が
姿を現すのですが、この枝こそが私を虜にしてやまず
楮行灯(こうぞあんどん)製作のきっかけとなりました。
冬の山間での楮の収穫、蒸して皮を剥ぐ加工を
寒い時期にみんなで集まって行う作業というところが
寒いながらも何だかこう心温まる光景というか。
実際は大変なんだぞ!という声も聞こえてきそうですが
山あいのそんな光景は古き良き時代を象徴していますよね。
さて、楮(こうぞ)についてのイメージが少しは伝わったでしょうか。
強靭な繊維質を持つため、和紙だけでなく、木綿布も作れるほどだそうです。
そんな丈夫な楮(こうぞ)を使って有名な和紙がたくさん日本各地で生まれています。
伝統工芸としての高い技術を持っている各地の有名な和紙。
昔ながらの技術を継承して未来へとつなげている重要な役割を担った
手漉き和紙職人の方もまだまだ多くいらっしゃいますし
和紙の魅力を最大限に生かした丈夫な紙を求めて研鑽する和紙メーカーも
まだまだたくさん頑張っています。
おわりに
今回は楮(こうぞ)という植物について少しご紹介させていただきました。
和紙の原料となる強靭な繊維質をもつ楮の木。
毎年収穫することができて、最高級の和紙の原料となる楮。
中国から伝わって古い歴史を持っているけれど
残念ながら廃れていく和紙の文化という危険性もはらんでいます。
それでも全国各地の有名な和紙は今でも技術を高めながら頑張っています。
その和紙の原料となる楮(こうぞ)という植物の面白さ。
この楮の枝も皮もすべての魅力を存分に伝えていければと思います。