About us 〜 営業時間など

世界遺産とは違う?日本の和紙【ユネスコ無形文化遺産登録】を簡潔に

こんにちは。ちぎりちぎり侑布です♪


さあ今回は今さら聞けない、

「確か和紙って世界遺産になったのでは?」
という率直な疑問を深堀します!

2014年に
和紙・日本の手漉和紙技術が
【無形文化遺産】に登録するよう
ユネスコの補助機関より勧告を受けました。

つまり和紙が世界基準の
「無形文化遺産」に登録されたよー
ということで

伝統ある日本の手漉き和紙の文化が
偉業を成したわけですが

「それって世界遺産ではないの??
世界遺産とは違うの?」

と素朴な疑問が残ります。

そうですよね、確かに当時
「世界遺産」の言葉も
飛び交っていましたから。

いや今でも世界遺産と言われることが
多々あります。

ちょっとややこしいですよね。

これはまず
「世界遺産」と
「ユネスコ無形文化遺産」の違い
について
把握しておく必要があります。

今回長くなりますので
どうぞ目次のお好きなところから
読まれてくださいね♪

和紙と世界遺産とユネスコ無形文化遺産

和紙って本当に美しすぎる・・・残していかないとって強く思います。

厳密にいうなら、

日本の和紙はユネスコ無形文化遺産に
登録されたと最初にお話ししました。

これね、
やっぱりちょっと難しいというか
まず内容以前に、

「ユネスコ無形文化遺産」という言葉が
わかりづらいし、覚えられない。

ここは認知の問題かと思いますが、
「世界遺産」という言葉の方が
なじみがある
というのが大きいでしょう。

日常会話においても
「和紙が世界遺産に登録されたんだよね!
すごいねー!!」

という伝わり方が圧倒的に多いと思います。

私自身のモヤモヤを解消すべく
ここではシンプルに
3本立てでまとめてみました。

①そもそも「ユネスコ」って何だろう?

②そもそも「世界遺産」って何だろう?

③【重要】世界遺産リストは3つに分類!和紙はどこに属してる?

では早速見ていきましょう♪

①そもそも「ユネスコ」って何だろう??

パリのモンサンミッシェル 世界文化遺産に登録。( RidoeによるPixabayからの画像)

ユネスコとは
United Nations Educational,
Scientific and Cultural Organization

の頭文字をとったもの。

「国際連合教育科学文化機関」
のことです。

1945年にロンドンでの設立総会で
ユネスコ憲章が採択、

1946年11月にユネスコとして
創設
されることになります。

文字通り、ユネスコとは

各諸国の教育・科学・
文化の協力と交流を通じて

国際平和と人類の福祉の促進を
目的とした国際連合の機関
で、

本部はパリに置かれています。
(文部科学省のHPから抜粋。)

この通りユネスコは
世界平和の実現が設立目的なのですが、

世界大戦の歴史とともに、
世界平和実現に向けての動きがあったわけで、

1922年に設立された
ユネスコの前身となる機関には

アインシュタインやキュリー夫人、
日本人では新戸部稲造氏
の名前もありましたから驚きです。。

世界平和を願う科学者たちによる
自然や歴史的建造物や文化を守ろう!
という動きが大戦中に
強くなるのもよくわかりますよね。

歴史的価値のあるものが壊されていくのを
目の当たりにしてきたわけですから・・。

またこれまでの
ユネスコの歴史を振り返ると

政治的な動きや
各国の思惑も反映していることも・・。

ユネスコに出資している国のうち
日本が全体の20%も賄っていることを考えると
また色んな関係が見えてきますよね。

政治や時代に翻弄されながらも

世界平和実現のために国が団結し
人々と地球をが守っていかないといけない機関と
胸を張って言いたいですね。

2021年現在、
193か国が加盟しています。

②そもそも「世界遺産」って何だろう??

世界遺産・第一号はガラパゴス諸島 海イグアナが有名になりました。(Peter MillによるPixabayからの画像)

世界遺産とは

「世界の文化遺産及び
自然遺産の保護に関する条約」

の略です。

つまり、条約のことです!

1972年、ユネスコ総会において採択されました。

この条約の目的は

国同士協力して、全人類のために、
世界中の文化遺産や自然遺産を保護して、
損傷や破壊から守ろうよ!

とザックリそういうことです。

そしてこの世界遺産条約に基づいて

世界遺産一覧表 
というものが存在しています。

いわゆる世界遺産リストってやつですね。

このリストに記載された
「顕著な普遍的価値」という認識をもった
建造物や遺跡・景観・自然・・・

これが世界遺産と言われるものなのです!

「顕著な普遍的価値」とは、
「まー誰が見ても
明らかに変わらない価値があるよね」
という共通認識のことです。

つまりこの世界遺産リストに登録されて
はじめて

「世界遺産になったよー!!」

と言っちゃってよいのです。

※世界遺産条約 外務省
のHPがとても分かりやすいです。

③【重要】「世界遺産リストは3つに分類!和紙はどこに属してる?」

世界複合遺産のマチュピチュ/ペルー 世界遺産に登録されると知名度も爆上がり!

ちょっと結論から申し上げ・・
申し上げにくいのですが・・

和紙はどこにも分類されておりません。

さて・・
世界遺産条約に基づいて
世界遺産一覧表が存在することがわかりました。

この一覧表は
大きく3つに分類されています。

1、文化遺産(897件の登録)

2,自然遺産(218件の登録)

3,複合遺産(39件の登録)

この一覧表に記載されると
「世界遺産とったどー!!!」の
レベルです。

世界遺産だよ。と
堂々と宣言して大丈夫なのです。

そしてもう一度言いますが、
この一覧表に

和紙は記載されておりません。

えーーーーー?????

ですよね。(汗)

これ、私も調べている順番通りに
ブログ書いてますが

本当に
えーーー???ってなりました。

世界遺産ちゃうやんっって・・。

世界遺産一覧表を
何度も見直しました。

やはり和紙の言葉は出てきません。

世界遺産とは言えないですよね。

ところが・・
世界遺産と言えないこともない
ことがわかったのです!

ややこしいなやっぱり。

※日本の世界遺産一覧表は文化庁HPで見れます。

和紙が登録・「ユネスコの無形文化遺産」って何だろう?

うわー石州半紙!テンション上がる~♪ 名古屋の紙屋さん「紙の温度」で購入。

さあここまで
世界遺産やユネスコの定義を確認してきました。

ここからいよいよ
「ユネスコの無形文化遺産」について
深堀していきながら

和紙を世界遺産と言ってよいのか?といった
モヤモヤを解消していきたいと思います。

①ユネスコの無形文化遺産と日本の手漉き和紙

美濃市旧今井家住宅。本美濃和紙の美しさ際立つ障子 障子紙の真ん中にある筋もこちらでは正統な貼り方。独特♪

ユネスコの設立後、、
世界遺産条約が締結されてから、

歴史的価値のある遺跡や建造物
といった有形の文化遺産は
率先保護されてきましたが、

それに対して
音楽・舞踊・演劇・工芸技術
といった無形の文化遺産
(人が生み出す文化など)は
まだ保護されていませんでした。

その国の歴史や生活風習と
密接に関わってきた
重要な文化遺産のはずなのに・・。

そんな無形の文化遺産について、

「ほっとけば消えていってしまうやろ、
どげんかせんといかん!」って
叫ばれるようになり、

ユネスコの場でも
度々議論が繰り広げられたんですね。

そこでようやく2003年に
「無形文化遺産の保護に関する条約」
が採択され、

2006年に発効という運びになりました。

ユネスコ無形文化遺産の誕生です。

この条約に加盟する国は
2022年180か国を数えます。

これにより、
既存の世界遺産(有形の文化遺産や自然遺産)
だけでなく、

無形の文化遺産も世界基準で
保護
されていくことになりました。

世界遺産だけでは補えない
大切な文化や伝統を保護していく
ということですね。

日本の手漉和紙の文化も

2014年に
和紙:日本の手漉和紙技術として

無形文化遺産一覧表に記載されました。

つまりユネスコはユネスコですが
世界遺産の方ではなく、
無形文化遺産として
登録された
ということです。

世界遺産じゃないのねー!!

とはいえ重みは当然
世界遺産と同等レベル!!

※ユネスコの無形文化遺産の一覧表は
外務省のHPで見ることができます。

②世界遺産と混同しやすい「文化遺産」というワード。

ちなみにこちらは世界文化遺産の姫路城。美しいですね。(chechanieによるPixabayからの画像)

ユネスコの無形文化遺産は
世界遺産とは違うことがわかりました。

なぜ世界遺産と一緒にされて
しまうのでしょう。

ひとつの理由として
「文化遺産」という言葉が
かぶっているから・・ということが
考えられます。

そうです。
この解説をしたいがため
【重要】世界遺産リストは3つの分類
のお話は布石に過ぎません。

世界遺産一覧表の3つの分類の中のひとつに、

「文化遺産」という項目がありました。

これは世界文化遺産という言い方をして
一般的にもなじんでいますよね。

この文化遺産という言葉が使われていることで
ユネスコの無形文化遺産

ここに分類されるのだという誤解を
なんとなくしてしまいがち。

似たような言葉で
混同してしまって当然だと思います。

例えばこれが
「ユネスコ無形伝統財産」
とかいう名前なら、

ここまで世界遺産と一色淡には
されていないんじゃないかなー。

とはいえですね、
深い意味を知る人の方が
圧倒的に少ない。

むしろ広くいい意味で
世界に誇れる文化だよーってことで
世界遺産と言う言い方をしているのなら

これまた
完全に否定もできないですよね。

広い意味での感覚として
全然アリだと思うんです。

ところが

無形文化遺産は
世界遺産の中のひとつだよね。

という会話を
聞いたことがありますが

はっきりと言語化すると
これはアウトですよね・・。

③結論!世界遺産と言ってよいのか?新聞記者さんを通して激しく納得

私と同じように
モヤモヤしている人を探しているうちに
素晴らしいコラムを発見しました。

毎日新聞の記者さんの書いた記事です。

ここでは記者さんが

無形文化遺産と世界遺産は
条約が違う

わかりやすく伝えてくれています。

そして新聞では
正確に区別して使うべきだ
結論を述べてくれています。

私も読んでいて激しく同意。

といっても私も調べていくうちに
なんだー!世界遺産じゃないじゃん!
とにわか知識ですが

記者さんは特に
報道の業界人なら
正しく伝えるべきというプロ意識ですよね、

ちょっとこれは
襟を正されたといいますか・・

和紙にかかわっている私たちこの業界でも
正確に認識して
きちんと区別しておくべき。

和紙って世界遺産になったんですよねーの
質問には
厳密には無形文化遺産に登録されましたと
きちんと伝えるべき
です。

そして
当然「世界遺産」と同等の重み
があることは言うまでもありません。

記者さんのナイスな見解。
↓↓毎日ことば・記者さんの記事はこちら

おわりに

すっかり長くなってしまいました。

記事にするということは
何より正確さが大切だと思います。

今回毎日ことばさんのコラムを発見できたことは
個人的に大きな収穫!

これからも正しく伝える姿勢は
しっかりと学び続けたいです。

次回はようやく本題だから!
ユネスコの無形文化遺産に登録された
↓↓↓日本の手漉き和紙をご紹介!

ABOUT US
yuu
村上侑布 / yuu murakami ~ 福岡在住      美しい楮(こうぞ)の枝に魅せられた私は、ひょんなことから創作の世界へ身を置くことに。 それから試行錯誤の日々が始まり、手漉き和紙、木工、塗装、染色、電気など学んでみたものの『たった1台の灯りを作るのさえ、 ままならない・・!』 先が見えず焦燥感ばかり募る数年間を、悶々と過ごしてきました。 ようやく少しずつ形となってきて、 現在は、和紙の原料となる楮(こうぞ)の木を育てて収穫し、手漉き和紙と行灯を製作する傍ら、和紙ちぎり絵のワークショップを開催しています。 三大フェチである「路地裏・扉・階段」をモチーフに、店長・アレキサンダーとの工房暮らしを満喫中。