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八女手すき和紙の郷をたずねて① 福岡県八女市 伝統工芸の旅

三国山から八女市をぬけて有明海と流れる矢部川

こんにちは。ちぎりちぎり侑布です♪

↑ざっくり地図 ちょっと大きめの八女市

今回は九州を代表する手漉き和紙の産地、
福岡県八女市に行ってきました。

八女市をご存じでしょうか?

福岡県の南に位置し、
大分県と熊本県に接しています。

平成の大合併により
旧八女郡(黒木・立花・上陽・矢部・星野)
といっしょになり、今に至っております。

古い歴史と多くの伝統を守っている聖地、
そして農産地としても恵まれた立地、

八女のたくさんの魅力を発見できました。

お天気にも恵まれて
まずは八女伝統工芸館を訪ね

大本命である八女手すき和紙の歴史を
肌で感じることができました。

「日源上人」をご存じですか? 八女の歴史から見る 八女手すき和紙

九州最古である
八女手すき和紙の歴史は古く、

1590年代、
越前(福井県)の日蓮宗の僧であった
日源上人が創始となっています。

この日源上人が
全国行脚で八女の地に来られた時に
当時水害が多くて
貧しい小さな村だったこの地に
紙漉きの技術を教えてくれたのです。

それというのも

この辺りには和紙の原料となる
楮(こうぞ)がたくさん自生していたこと。

和紙づくりにはきれいな水が必要ですが

浅瀬で作業に向いている
最適な川がすぐ近くに流れていたこと。

日源上人はこの立地に目をつけ
「紙すきにとても向いている」
紙漉き業に着手することになります。

↑昔はこの川で楮(こうぞ)の皮を洗ったりと作業をしていました。

すぐに廃寺に移り住み
和紙の製糸業を根付かせることに
全力を注ぎます。

日源上人のお話は大変面白く
またの機会にじっくりと
ご紹介させていただきますが

さてこの最適な川とは
”矢部川”と呼ばれる川のこと。

八女伝統工芸館を出て南西に向かい
べんがら村を抜けると
矢部川に突き当たります。

川の堤防沿いを車で走りながら
美しい矢部川を眺めます。

ガードレールがありませんので
落っこちない様に注意!

太陽が反射して川面はきらきらと美しく
水鳥が魚を採っている姿も見られます。

約500年前、
日源上人が熱い思いで眺めていた川なんだなあと
何とも感慨深いものがありました。

矢部川と八女和紙 八女の歴史から見る 八女手すき和紙

薄い生成りの優しい自然の色。

矢部川沿いには
昔はたくさんの和紙工房が
軒を連ねていました。

和紙の原料となる楮の皮を洗ったり
水にさらしたりするのに

矢部川の浅瀬が作業しやすく
ちょうど良かったそうです。

和紙の最盛期が昭和初期ですから
それ以降は残念ながら紙の需要が減り
減少が続いています。

とはいえ
和紙とは最古の、
そして自然の恵みを生かした
美しく丈夫な
大変貴重な素材であることは
言うまでもありません。

残していきたい大切な宝だと
思っています。

今でもいくつかの和紙工房があり
伝統を守りながら
美しい和紙つくりを行っています。

今回、実際に何件か
和紙づくりを生業にしているところを
訪問させて頂きました。

そのうちのひとつ、
今は隠居された・・とあるご夫婦のお宅で
「これは20年前のだなー」
棚からおもむろに取り出したのは
楮100%の薄手の和紙!

↑ 渋い!!この透け感、風合いがたまりません!

有難いことに
少し分けていただきました。

私の大好きな薄い生成りのお色味で
優しい天然色の風合いです。

あ~もう癒される~~

さすがプロ!というと怒られますが

薄くも均一に紙が漉けています。
この繊細さと美しさは職人さんならでは!

ふわ~持つ手が震えます…

八女中央大茶園(パイロット大茶園) 八女茶と八女手すき和紙の郷

八女といえば八女茶・・これは茶畑?

今回は古くから八女市にお住いのNさんに
道案内をしていただきました。

和紙工房を数件訪れたあとに
「ちょっと寄り道」と
Nさんに連れられてやってきたのが

八女中央大茶園

ん・・??
茶畑って書いてあるから
茶畑なんだろうね~

とのん気に構えていたのですが
規模が違います。

1970年頃、
県営パイロット事業として
約100haもあった山林を
開拓して作られた見事な茶畑!

圧巻です!!!!

10月の訪問でしたが十分綺麗!4、5月の新緑の頃はそれはまた美しいそうですよ♪

頂上まで車ですぐに行けますし
ちょっとした展望台も設けられています。

お天気の日なら
有明海や島原半島も見ることができ
なんとも壮大な景色が拡がっています。

無料駐車場もあり
車は20台ほど停められます。

八女茶はブランド化に成功し
全国でも有名なお茶になりました。

↑ 八女を案内してくださったNさん。その節は大変お世話になりました!

雄大な景色を眺めながら
八女は多くの伝統工芸があり
様々な産業がある。

福岡県で一番高い山
釈迦岳(しゃかだけ)といって
標高1200メートルあります。

この山が八女市と日田市をまたいでいます。

福岡県高い山ランキングの
10位内には
八女にまたがる山が4つも
ランク入りしています。

8位の三国山から流れ出た水が
矢部川となり八女和紙を生んでいます。

他にも
美しい山々に囲まれて
栄養豊富な水が肥えた大地をつくり

様々な果物や電照菊など農業も発達し

またパイロット事業の茶畑もそうですが

地の利をよく活かしているのだなと
改めて感心しました。

おわりに

福岡県に長年住みながら
じっくりと八女を散策することは

これまでありませんでした。

今回は
「手すき和紙の郷を訪ねて」
がメインで動きましたが

八女は実に見どころが多くて
ご紹介したいところが
まだまだたくさんあります。

歴史と伝統のある農芸都市

手すき和紙と八女の魅力は
まだまだ続きます。

今回はこのへんで
また次回お会いしましょう!

ABOUT US
yuu
村上侑布 / yuu murakami ~ 福岡在住      美しい楮(こうぞ)の枝に魅せられた私は、ひょんなことから創作の世界へ身を置くことに。 それから試行錯誤の日々が始まり、手漉き和紙、木工、塗装、染色、電気など学んでみたものの『たった1台の灯りを作るのさえ、 ままならない・・!』 先が見えず焦燥感ばかり募る数年間を、悶々と過ごしてきました。 ようやく少しずつ形となってきて、 現在は、和紙の原料となる楮(こうぞ)の木を育てて収穫し、手漉き和紙と行灯を製作する傍ら、和紙ちぎり絵のワークショップを開催しています。 三大フェチである「路地裏・扉・階段」をモチーフに、店長・アレキサンダーとの工房暮らしを満喫中。