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ユネスコ世界遺産に登録された日本の和紙とは? 内容を簡単に解説!

はじめに(概要)

和紙は素晴らしいですが、手漉き和紙の産地はどこも後継者不足や産業の衰退などで作り手が減少しているのも事実。

2014年11月。

日本の和紙が、
「ユネスコ世界文化遺産に登録」
という快挙を成し、

故安倍晋三元総理が
「心から嬉しく思います。」
とコメントされました。

そして

「正倉院には今も8世紀初頭の
『和紙』が伝わります。
匠たちが幾世代にもわたり
受け継いできた『技』とともに、
『和紙』の文化を後世へと
大切に継承して行きたいと考えます。」

という言葉を残されています。
(当時の各新聞紙面に掲載されました。)

さあその
「ユネスコ世界文化遺産」ですが

2009年、
まずは最初に島根県の
「石州半紙」せきしゅうばんし
という名前の和紙が登録され、

2014年、
「日本の手漉き和紙技術」として
「細川紙」ほそかわし
「本美濃紙」ほんみのし
追加登録される形になりました。

今回はユネスコ世界文化遺産登録を
成し遂げた日本の和紙について、

内容を簡単にまとめてみました。

和紙の歴史とユネスコ世界文化遺産登録の背景

振り返ってみれば2014年の当時、
内閣総理大臣だった故安倍晋三氏、

今となっては
彼の言葉が胸に染みますね。

日本国民として
国の伝統技術が世界に認められる・・
ということは

政治や思想を超えて、
国民がひとつなるような
大変喜ばしいニュースです。

また和紙だけ見ても、
伝統工芸の手漉き和紙文化が
他にも日本全国にまだたくさんあり、

多くの職人さんたちが切磋田琢磨、
日夜研鑽を続けています。

早速和紙の歴史から
簡単に見てみましょう

祝!ユネスコ世界文化遺産登録!まず和紙の歴史を見てみよう♪

大好きな福岡県八女市の楮紙。この風合いがたまらん~♪

和紙は、
日本の伝統的な手工業であり、
世界的にも高く評価されている
文化遺産です。

和紙の歴史は非常に古く、
紀元前から存在していたと
されています。

後漢書という中国の古い歴史書には
起源105年に「蔡倫」という人物が
紙を作ったと記録されています。

歴史書に残るほどに
紙をちゃんとした工法で
まとめあげたのが蔡倫さんで、

太古の人類は
植物を叩いたり絞ったりして
色々と試していたのではないかと・・

紀元前2世紀頃には
中国で漉かれていたのではないかと
言われています。

これもまた近年の発掘により
新たな遺跡から
紙の実物が発見されるなどして

紙の歴史については
まだまだ研究発展の途上です。

いずれにしても、この紙作りという
技術が日本にも伝わり、

和紙の原料となる
「植物繊維の加工方法」が
どんどん発展していきました。

和紙の原料は、主に楮(こうぞ)
雁皮(がんぴ)麻(あさ)などの
植物の繊維です。

他にも色々な植物の繊維で
紙を作ることができます。

これらの繊維を煮たり、
水に浸したりして柔らかくし、

叩いたり攪拌したり
様々な工程を経て
細かい繊維の状態にします。

それらをまた絶妙の塩梅で紙状に
集めたものが和紙になります。

この工程を経て作られる和紙は、
非常に丈夫でありながらも
とても柔軟性があります。

和紙は、
日本の伝統的な美術や書道、建築など
さまざまな分野で使用されてきました。

また、和紙は水に強く、
保存性にも優れているため、
重要な書物や古文書の保存にも
活用されてきました。

なぜ和紙が? ユネスコ世界遺産に登録された背景とは?

福岡県八女市の大好きな和紙工房にて。楮の繊維を生かした素晴らしい雲竜紙。

日本の手漉き和紙技術として
ユネスコ世界文化遺産に登録された
背景を少し見ていきたいと思います。

ユネスコ世界遺産登録は、
その価値が世界的に認められた文化や
自然の遺産を保護し、
後世に伝えるための取り組みです。

なぜ日本の和紙がユネスコ世界遺産に
登録されたのでしょうか?

和紙は、日本独自の伝統的な技術や
文化を反映しており、
その繊細さや美しさ、耐久性から
世界的な評価を受けてきました。

また、和紙は日本のさまざまな分野で
重要な役割を果たしてきました。

ユネスコは、
和紙がこれらの文化的な
要素や技術を代表するものであり、
日本の伝統と芸術を体現していると
評価しました。

当たり前ですが、
良い和紙は
良い素材からしか作られません。

古くからの伝統的な製造方法が守られ、
技術や知識が後世に受け継がれ、

その価値が高く評価されました。

ユネスコ世界遺産登録には、
和紙の保護や保存のための取り組みが
求められます。

これによって、和紙の伝統的な製造方法
や技術が守られ、
後世に伝えられることが保証
されます。

また、世界遺産としての認知度が高まる
ことで、和紙の需要や価値が向上し、
地域経済の発展にも寄与することが
期待されています。

ユネスコ世界遺産登録は、
和紙の文化的な重要性を国際的に認める
とともに、
その保護と保存を推進するための重要な
一歩となりました。

和紙の美しさや独自性は
今もなお多くの人々に魅力を与え続け、
世界中で愛されています。

3つの和紙 ユネスコ世界文化遺産に登録された経緯を簡単に

出雲大社で有名な島根県東部に対し、島根県西部に位置する石見の国(旧国名)。そこで石州半紙は作られる。

2009年、
島根県の「石州半紙」
単独でユネスコ無形文化遺産に
登録されます。

これだけでも大快挙!

和紙が「washi」として
世界に認知される第一歩。

歴史的文化的研究者はもちろん
紙に関わるすべての人が

え?何?何?
日本の紙が無形文化遺産って

一体どんな紙なのーー!?

となりますよね。

そして石州半紙が登録されたのち。

伝統の技術を継承されてきた、
埼玉県の「細川氏」
岐阜県の「本美濃紙」の2つが

2014年に追加登録されました。

厳密には、最初に登録された
「石州半紙」を拡張し

「和紙:日本の手漉き和紙技術」として

日本政府がユネスコに提案しました。

我が国としては初の拡張案件であり
初のグループ案件だったそうです。

この3つの和紙の大きな共通点が

①国指定・重要無形文化財である。

②楮(こうぞ)のみを使用した紙である。

つまり「細川氏」も「本美濃紙」も
「石州半紙」と同じ
国の重要無形文化財なのですから、

ちょっと待ったー!!!
石州半紙に負けてませんよ!?

と地元だけでなく、
細川氏や本美濃紙の良さを
知っている人なら思いますよね。

追加申請の流れになるのは
これ必然でしょう。

ご参考までに
国の重要文化財に登録されている和紙は
全部で5種類。

その内の3つが

今回登場した
「石州半紙」
「細川紙」
「本美濃紙」

ということになります。

3つの和紙の共通点:原料は楮(こうぞ)のみを使用

これはヒメコウゾという品種。ネットで購入したもので、これで漉いた紙は当然伝統工芸の和紙にはあたらない。

もう1つの共通点である
「楮(こうぞ)の植物のみを使用」
という点について。

和紙の原料となる、
「楮(こうぞ)」
という植物を使っているわけですが、

当然国産楮!

それも指定を受けた畑で
一定の基準で統一された栽培方法で
育てられ・・と

紙になる前の原料の段階から
厳しい基準が守られている。

もっと言うなら・・

畑の土や使う水の状態さえも
伝統を守っているという責任の下
保護・管理されていること

想像できますよね。

間違っても農薬のような
強い薬は使わないでしょうし
また土の影響を考えると
除草剤なども
様々な制限があるはずで

いや、使えないですよね・・。

これが和紙の品質を
守るということ。

和紙に限らず、
伝統を守るということは

使用する材料や道具や製法の
すべてが

正しく行い、
正しく伝えていかないといけない

見えないところでの
大変なご苦労が
あるに違いありません。

おわりに

九州から車でフェリーに乗って美濃和紙の里会館を訪ねた。美しい川沿いの美濃の風景が忘れられない。また行きたい。

本当はもっともっと
ユネスコ無形文化遺産登録までの
様々なドラマがあると思うのですが

それはまたいつの日か
お伝えできればと思っております。

次回はこの、
ユネスコ無形文化遺産に登録された
3つの和紙、

「石州半紙」
「細川紙」
「本美濃紙」

についてもう少し
詳しく見ていきたいと思います。

世界遺産?文化遺産?何が違う?
もやっとしている方はこちら!
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ABOUT US
yuu
村上侑布 / yuu murakami ~ 福岡在住      美しい楮(こうぞ)の枝に魅せられた私は、ひょんなことから創作の世界へ身を置くことに。 それから試行錯誤の日々が始まり、手漉き和紙、木工、塗装、染色、電気など学んでみたものの『たった1台の灯りを作るのさえ、 ままならない・・!』 先が見えず焦燥感ばかり募る数年間を、悶々と過ごしてきました。 ようやく少しずつ形となってきて、 現在は、和紙の原料となる楮(こうぞ)の木を育てて収穫し、手漉き和紙と行灯を製作する傍ら、和紙ちぎり絵のワークショップを開催しています。 三大フェチである「路地裏・扉・階段」をモチーフに、店長・アレキサンダーとの工房暮らしを満喫中。